今回は、いきなり番外編とさせていただいた。
社労士受験生にとって夏は勝負の季節だ。会社や事務所で給与計算などの仕事をしながら社労士試験に向けて頑張っている方もいるかもしれないので、久しぶりに、私なりに社労士受験を振り返ってみた。参考になる部分があれば…。
・合格まで3年
前にも書いたが、社労士に合格するのに3年かかった。
前職を3月に退職したその年も『記念受験』というやつで一応受けてはみたが、これは1度雰囲気を知っておこうとしただけで、この後の文章では、この1回は無視している。
初めは、まじめに2年やれば合格できるだろうと甘く考えていた。
翌年の(実質)1回目は、選択労災が1点で自滅。労災は2点救済(正しくは『補正』というらしい)だったが、それにも達しなかったわけで、悔しくはあったがそれなりに納得できた敗北だった。
2回目はいくら何でも…と思っていたので、2年目の晩秋の絶望は大きかった。専業主婦の妻がいながら50才で小学校教員を退職。収入は週3日・月5万円のアルバイトのみ。公務員だったので失業手当もない。せっかく『勧奨退職』ということにしてもらって若干増額された退職金も減る一方。
社労士試験は、択一と選択というのがあり、択一が70点満点・選択が40点満点なのだが、この選択が曲者で、8教科各々5点満点のうち、原則3点取らないと足切りされてしまう。
択一はコンスタントに50点は取れていたが、選択で必ずどこかが引っかかる。2年目には択一65点・選択35点・合計100点にもかかわらず選択労働一般2点で不合格という偉業?を達成した。
この時の労一は、5問中2問は確実に手にしていた。後の3問は皆目わからなかった。『皆目』と言っても選択肢をカテゴライズしてそれぞれ4肢には絞れる。要するに、3問の答えがそれぞれ4つの選択肢のどれかであることは確実な状況だ。
単純計算すると、残り3問全滅の確率は(3/4)³ で27/64(42%)となり50%を切る。つまり小学生がデタラメに解答しても58%の確率で+1点取れる。しかし、薄運の私はこれを落としてしまった。結果、労一2点で敗退。
「100点で合格した」と言えばイヤみになるが、何しろ不合格なのでそんな心配はない。合計108点取れば制度的に絶対不合格はないので、それを目指すしかないかと半分本気で考えたくらいだ。
結局3回目も、2点の教科(またしても選択・労一)があり、救済されたに過ぎない。ただ、ちょっと言い訳させてもらうと、この救済合格は一か八かの作戦だった。
1問はすぐに分かった。あと4問はかなりの難問と見た。救済制度の仕組みから、2問簡単な問題があるときは、あとの3問が相当の難問でも救済はない。先に述べたように、前年はこれで引っかかって敗れた。
・分からないときどう決断するか
さて、残り4問のうち、2問は全く分からない。1問は難問は難問だが、何とか分かった。前年同様2点は確保したことになる。あとの1問だが、問題製作者の引っかけの意図がかすかに感じられた。多分そうでないほうの解答の方が正解のようだが、勝率は8割くらいの感覚だった。大多数の受験生が引っかけの解答に流れることも予想できた。
ここで、脳内勝率8割の私の予想解答を書いてこれが正解ならば3点確保。しかし、当然ながら本当の正解は試験後まで分からない。この選択肢が間違っていて「引っかけ風」の方が本当に正解であれば救済はなく不合格確定だ。まさにガケっぷちの正念場。
私は自分ではおそらく間違いと思った「引っかけ」解答の方を選んだ。
これで間違えても、多くの受験生がこちらに流れるのでまず救済が入ると思ってだ。その救済可能性はほぼ確実。少なくとも9割以上(もちろん脳内確率)はありそうに思えたのだ。
結果は予想通り2点で救済合格。もちろん安心したのは合格発表後で、それまでの2ヶ月半は戦々恐々だった。社労士試験には駆け引きの要素もある。
択一は毎年50~60点前後は取れているのに選択足切りで連続敗退という話はよく聞く。こういう方は、確実に3点取れる科目は別として、迷ったときには単純に(脳内)正答確率が高い選択肢を選ぶのではなく、『難易度からいってその科目の救済可能性はどうか』・『大多数の受験生はどちらに流れるか』を、本番中に考えた方がいいと思う。
もちろん、社労士試験の選択問題の理不尽さは有名だから、色んな人が選択対策の方法について論じている。それらも踏まえたうえで迷った時の、最後の最後の決断のときだ。
・高得点なら受かるとは限らない
ちなみに3回目、合格時の得点は、択一52点・選択34点・合計86点だった。択一の問題文が長い年で時間ギリギリだったので見直しが一切できず、かなり得点を落としてしまったが、高得点なら受かるとは限らないのも社労士試験だ。
私の受験生時代は、東日本大震災の影響が残り、午前中に択一・午後から選択となっていた。仲間内では午前の択一は『予選』、午後の選択を『本選』と冗談で言っていた。
今は選択が先になった(本来の姿に戻った)ので、受験生にとってはさらにメンタル勝負の要素が強いと思う。少なくとも選択試験の後に答え合わせをするのは絶対にNGだ。
・Good Luck
この時期にこんなマイナーなBlogを読んでもらったのも何かの縁だ。必勝を祈る。
次 ― 71.業種限定の『1週間単位変形』 ―
※ 誤字訂正
・分からないときどう決断するか
15行目 各日 ➡ 確実 '23.07.28
・メインタイトル変更
社労士『選択』試験は脳内確率計算 ➡ 社労士試験、ガケっぷちの選択対策