₂₁₁.失業手当の受給期限 季節6ヶ月・他1年



失業手当の受給期間

 
 失業手当を受給できる期間は無制限ではない。普通は離職の翌日から1年間だが季節雇用の場合は6ヶ月しかない。正確には次のように定められている。
 

                      離職の翌日から

季節雇用の離職者               6ヶ月
65才以上の離職者               1年
一般の離職者で所定給付日数が300日以内の方   1年
      ”       330日の方    1年+30日
      ”       360日の方    1年+60日
 

・ 期限が迫ってからハローワークに行ってもダメ

 
 これらのどの場合に離職についても言えることだが、物事には順序と段取りというものがあるので、受給期限が迫ってからあせってもムダなあがきになる。

 どういうことかというと、離職票を持って最初にハローワークで『求職の申込み』をしてから7日間は『待期期間』でじっと待っているしかないし、離職理由による給付制限期間がある場合はその後1~3ヶ月も失業手当は支給されない。

 失業手当は、その後の日の失業している日について所定給付日数分を限度に給付されるが、この『所定給付日数』を消化していく途中で『受給期間』が終わってしまった場合は、その後の給付は未消化のままカットされる。

 物事を計画的に進めていくタイプの方は大丈夫かもしれないが、夏休みの最終日に泣きながら宿題を片付けた記憶があるような方は気を付けた方がいい。

 もっとも一般の65才未満の離職者の場合は、『離職理由による給付制限』が付いたことによって所定給付日数をすべて受給期間内に収めるのが難しくなる場合や、やむを得ない特定の理由がある場合には、受給期間の延長規定はある。これらについては次回触れる予定だ。
 

季節雇用は6ヶ月で期限切れ。延長なし

 
 季節雇用の場合は『特例一時金』を受けることになるが、この一時金の支給を受けるためには(雇用保険法39条・40条から)、
 

 特例受給資格者(季節雇用で一時金を受ける資格がある方)が、離職の日の翌日から起算して六箇月を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない。
 

ことになっている。

 これだけ見ると離職6ヶ月後直前に行ってもよさそうな気がするが、上に書いたようにそれはアマい。
 

・ 認定日から40日間がすべて期限内にあれば満額

 
 季節雇用の方が受取る一時金は『給付日数40日分』で、その期間分の給付を一括で受けることになる。だから『認定日から40日分』がすべて離職後6ヶ月間に収まっていなければ、その分減額されることになるのだ。

 たとえば11月30日に離職した方が4月30日に『失業認定』された場合、『認定日』から受給期限(5月31日)まで32日しかないので、8日分減額されることになる。

 とはいえ、季節雇用の場合はそんなにのんびりしていたら来季の仕事に差し支えるので、離職票をもらったら急いでハローワークに行くのが普通だろうから、通常はそんな心配はいらない。

 ただし、雇用期間満了前に自己都合で離職する場合は『給付制限期間』が2ヶ月(2025年4月からは1ヶ月)付くし、また本人の意思に関わらず傷病等で働けない場合も失業認定されない。

 この場合でも季節雇用の場合は受給期間の延長規定は一切ない。受給資格を決定するときには状況によっては過去4年間さかのぼって被保険者期間が6ヶ月あれば認められることがあるが、その話とは全く異なる。
 

65才以上は期限は1年間・同じく延長なし

 
 季節雇用以外の65才以上の離職者の場合、受給期間は1年になる。だからそんなに極端なことはなさそうだが、一時金であること・受給期間の延長がないことについては季節雇用と同じだ。

 これは、たとえ定年退職であっても以下のような延長規定はないので、注意が必要だ。
 

64才以下の定年退職者は、1年延長可能

 
 上記以外の、64才以下の季節雇用以外の方も、基本の受給期間は1年だが、いくつか延長できる規定がある。

 まず、64才以下の一般の定年退職者の場合は、だれでも受給期間を延長できる。

 ここで『定年退職者』ということは60才以上。『一般』ということは65才未満ということになるので、この延長の対象者とは、
 

60才の誕生日の前日から、65才の誕生日の前々日までに定年退職した方

 
ということになる。

 この60~64才の定年退職者が希望した場合は、『一定期間求職の申込みをしない』旨を離職翌日から2ヶ月以内にハローワークに申し出れば、最大1年間無条件で受給期間を延長できることになっている。

 長い間働き続けてきた後の『骨休め』の意味もあるので、希望する方は申し出た方がいいだろう。申出に必要なのは
 

  ○ 離職票
  ○ 受給期間延長等申請書
 

だ。

 ここでたとえば『10ヶ月の延長』を申し出た方が、途中で心細くなって6ヶ月で『求職の申込み』をしたくなったのなら、そのときハローワークで所定の手続きをすればいいだけだ。その場合の受給期間は、そこから1年間になる。

 「あんた、来るの早すぎるよ」とか言われる心配はないので安心していい。

 

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2025年02月18日