③ 3才の誕生日前日までは社会保険料免除
産前産後休業中や育児休業中は労使ともに社会保険料が免除されるが、その期間は、育児休業の義務的期間や育児休業給付金の支給期間を大きく超えて最長で子の3才到達日(3才の誕生日の前日)まで可能だ。
社会保険料が免除になる育児休業の種類は、『出生時育児休業』(産後パパ育休)はもちろん、会社が任意に(会社の規定に沿って)与えた『育児休業に準ずる休業』も含まれる。
前回述べたように、会社が法律の基準を上回る『育児休業期間』を設けている場合は、その部分については『育児休業に準ずる休業』という扱いだが、社会保険料免除に関しては、最低基準の『育児休業』と同じ扱いになる。
社会保険料が免除になる要件は次の通り。
・ 育児休業時の社会保険料免除の要件
○ 給与分
給与分については、次の期間の社会保険料が労使ともに免除される。
ア. 満3才到達日までの子を養育するための育児休業(準ずる休業含む)期間内で、
イ. 月末が休業期間内である月分の社会保険料
ただし、イについては、同じ月に育児休業を開始・終了し、かつ、育児休業期間が14日以上の場合は、月末を含まなくても免除。
○ 賞与分
賞与分については、その月の末日を含む1ヶ月以上の育児休業を取得した場合に限り、その月に支給された賞与分の社会保険料も免除になる。
・ 月末までは育児休業を取った方が吉
また基本的な場合で、育児介護休業法の最低基準通り1才の誕生日の前日まで育児休業を取得した場合も、取得最終日の『1才の誕生日の前日』まで、社会保険料免除の対象となる育児休業として扱われる。
前回も書いた通りこの場合は『1才の誕生日の前々日まで』となっている育児休業給付金の支給期間とは1日ずれる。
たった1日とあなどってはいけない。
たとえば5月1日生まれのお子さんの育休の場合、育児休業給付金は翌年4月29日分までしか支給されない。
だからといって「法律上は4月30日まで育児休業を採れるそうだけど、給付金が出ないんなら意味ないから育児休業も4月29日まででいいか…」といって4月30日から復帰してしまうと、4月分の社会保険料が丸々かかってくる。たった1日しか働いていないのにだ。
5月1日復帰なら4月分は労使ともに免除なので、この違いは大きい。
社会保険料免除による不利は、労使ともにない
こうした産休・育休中の社会保険料免除による不利益は、労使ともにまずない。
ここで『労使ともに』という点が重要で、こと産休・育休に関しては、労使の利害が対立する場面はあまり想定できないのだ。
これが、従業員が私傷病で欠勤している場合ならどうなるか。
この方が月給30万円(標準報酬も同額)だったとすると、会社が認めた傷病休職期間中、会社は次の金額を毎月負担しなければならない(40~64才・健保料は北海道の場合)。
○ 健康保険料 30万円 × 5.155% = 1万5465円
○ 介護保険料 30万円 × 0.795% = 2385円
○ 厚生年金保険料 30万円 × 9.250% = 2万7750円
○ 子ども子育て拠出金 30万円 × 0.360% = 1080円
計 4万6680円
このままいくと1年10ヶ月で会社の負担は100万円を突破する。
従業員の負担は『子ども子育て拠出金』を除いて同額なので、月々4万5600円になる。会社よりはほんの少し負担が軽いが、同じく1年10ヶ月で100万円を超える。
この場合と比較すると、産休・育休の場合はこれらはすべて労使ともに免除される。最長子の3才到達月分までだ。会社にも従業員にも、社会保険料の不利益は1円もない。
他の事情も考えなければならないのでなかなかそういう事業所はないようだが、仮にこの場合で、公務員並みに3才到達まで育児休業を認めたとすると、産休時の社会保険料と合わせて、労使でザックリ340万円程度の社会保険料が免除されることになる。
将来の年金給付等にも不利益はない
従業員の健康保険や将来の年金給付についてはどうか。
保険診療についての不利益がないことは当たり前だが、私傷病で傷病手当金をもらうことになっても、標準報酬は変わっていないので、上の月給30万円の場合でいえば傷病手当金もほぼ月々20万円で違いはない。
ちなみに『育児休業に準する休業』でなく、実際に育児休業給付金を受給中の傷病だったとすれば、育児休業給付金と傷病手当金には併給禁止や調整の規定はないので、その場合は双方満額もらうことができる。ウソのようだが本当の話だ。
将来の年金給付についても、産休・育休での免除期間中は、その期間普通に給与をもらって厚生年金保険料を納め続けた方と同様に年金額が計算されるので、不利益はない。
しいて挙げるとすれば、育児休業が長期にわたるときには賞与も出ないだろうから、その間払わなかった賞与分の厚生年金保険料に対応する将来の年金増加分までは補填(ほてん)されない。これはさすがにやむを得ないだろう。