前回書いたように、教育訓練は大きく3種類に分かれるが、一般・特定一般・専門実践のそれぞれによって、教育訓練給付金の支給申請のタイミング・必要書類はかなり変わってくる。
一般教育訓練の給付金は、事後申請だけで可
『一般教育訓練』とは、職業に関する教育訓練として厚労大臣が指定するもので、支給額が低い分?手続も簡単で、受講前にハローワークに行って『今から受講してきます!』と宣言する必要もない(ひょっとすると激励してくれるかもしれないが)。
つまり、事前の申請は不要。
給付金を受給するには、訓練修了日から1ヶ月以内に、このページの最後にまとめた所定の書類を用意してハローワークに申請するだけだ。
特に受講料は最初に払う場合が多いので、『訓練実施者が発行した領収書』はなくさないように注意したい。
一般教育訓練の内容は、ネット上にも広く公開されているように様々な種類がありすぎるので例示はしないが、一部、かなり内容的に高度な後述する『特定一般』や『専門実践』の対象と重複しているものもある。
こういうものについては『一般教育訓練』としての給付金をもらうことはできる。
特定一般教育訓練給付金は、事前申請が必要
『特定一般教育訓練』は、一定の資格取得を目標とする訓練が主体で『一定の資格』とは、
① 業務独占資格
《資格を持たずに業務を行うことが法令で禁止されているもの》
・管理業務主任者・危険物取扱者・気象予報士・行政書士・司法書士
・社会保険労務士・税理士・電気工事士・ボイラー技士・弁理士 等
② 名称独占資格
《資格を持たずに名称を使用することが法令で禁止されているもの》
・業務独占資格・介護福祉士・社会福祉士・調理師・保育士・マンション管理士等
③ 必置資格
《事業所等の業務のために、その資格者の配置が義務づけられているもの》
・運行管理者・衛生管理者・ケアマネージャー・宅地建物取引士 等
④ ITSSレベル2の情報通信技術関係資格
をいう。さらにこれら以外に、
○ 短時間の職業実践力育成プログラム・キャリア形成促進プログラム
というものも含む。
なお、特定一般教育訓練によって資格を取得し、訓練修了日から1年以内に就職した場合は、受講経費の10%(上限5万円)が追加で支給される。
・ 2週間前までに申請。その前にコンサルティング
『特定一般教育訓練』の給付金を受けるには、受講開始日の2週間前までに申請しなければならない。
ただしこの申請には『ジョブカード』の提出が必要だ。この『ジョブカード』は『訓練前キャリアコンサルティング』を受けて交付されたものでなければならないので、かなり余裕をもって準備しなければ手遅れになる。
・ 修了後は1ヶ月以内に申請
訓練修了後1ヶ月以内に所定の書類を提出して給付申請することで、受講料の40%(上限20万円)が支給される。
・ 1年以内の資格取得・就職 ➡ 1ヶ月以内に申請
特定一般教育訓練修了によって資格を取得したり就職したりした場合は、受講費用の一部が追加支給される場合がある。具体的には、
① 離職者が教育訓練により資格(学位含む)を取得し、訓練修了後1年以内に就職
② 在職者が訓練修了後1年以内に、その訓練により資格を取得
した場合は、受講経費の10%(上限5万円)が追加支給されることになっている。
この支給申請は、①は就職日・②は資格取得日から1ヶ月以内に所定の書類をハローワークに提出して行なう。このページ末の表では『就職等後』としている。
専門実践教育訓練給付金は、半年ごとに支給
専門実践教育訓練は『働く人の主体的で中長期的なキャリア形成を支援』するものという位置付けだ。
初めて教育訓練給付を受ける場合、一般・特定一般の場合はその前の勤務期間(詳しくは₂₁₈.教育訓練を受けるときの給付)が1年でも受給できるが、専門実践教育訓練だけは2年必要。
・ 支給は半年ごと
専門実践教育訓練は普通長期にわたるので、修了してからの一括給付ではなく、経費の50%を6ヶ月ごとに支給することになっている。
ただし年間の上限は40万円と決まっているので、年額がこれを超えることはない。
・ 追加支給は20%
一定の要件を満たした資格取得や就職の場合は所定の手続により、特定一般の2倍・受講料の20%(上限16万円)が追加支給される(就職等後)。
・ 給与増額でさらに支給金
訓練修了後に資格取得・就職し、その賃金が、訓練前の賃金より半年平均で5%以上上昇した場合は、さらに受講料の10%(上限8万円)の支給がある。雇用保険の給付で、給与が上がって給付されるのはめずらしい。
この場合は、就職や資格取得から6ヶ月を経過した日から6ヶ月以内に申請する(賃金増)。
・ 対象となる専門実践教育訓練
専門実践教育訓練の対象となるのは、次のような講座だ。
① 業務独占資格・名称独占資格の取得を目標とするもの
訓練期間が1~3年で、業務独占資格・名称独占資格の取得を目指すもので、『必置資格』取得を目標とするものは含まれない。
② 専門学校の職業実践専門課程・キャリア形成促進プログラム
専門学校の専門課程のうち、最新実務知識等を体得できるよう教育課程が編成されたものとして文科大臣が認定したもの
③ 専門職大学院
高度専門職業人の要請を目的としたもの
④ 職業能力育成プログラム
大学・高専等の課程のうち、社会人や企業などのニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを文科大臣が認定したもの
⑤ 第4次産業革命スキル習得講座
社会人向けのITスキル標準レベル3以上の資格を目標とした課程等
⑥ 専門職大学・短期大学・学科
・ 支援給付金もある
教育訓練給付金とは別に、昼間通学生の専門実践教育訓練を受講している場合など一定の要件を満たした方が失業している場合は、失業手当の日額の60%を支給する制度もある。ここでは詳しく触れないが『教育訓練支援給付金』という。
教育訓練給付金は教育訓練に要する費用の一部を援助するもので重要な意義を持つが、人間、キャリアアップを考える前にまず生きていかなければならない。カスミを食いながら勉強するわけにはいかないので、失業中の場合はこういう制度はありがたい。
申請に必要な書類
それぞれの教育訓練給付の受給に必要な書類は次の通りだ。

③領収書は訓練実施者が発行するもの
⑤は本人の住所・個人番号の確認のためで、
・ マイナンバーカード
・ 運転免許証 + 個人番号入り住民票の写し
など
⑥は、他の雇用保険手続で指定済みの方は不要
⑦は正確には『訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者確認票』
⑨は、過去に専門実践・特定一般教育訓練給付金を受けたことがある方のみ
正確には『専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付再受講時報告』
⑫は、合格証と、資格によっては登録証・免許証
⑭写真は、6ヶ月以内撮影の、正面・上3分身・縦3cm×横2.4cm
支給申請時にマイナンバーカードを提示する場合は不要
⑮は、または『教育訓練受給資格通知』。受給資格確認後にハローワークから交付
⑱は、 ・ 賃金台帳か給与明細
・ 出勤簿かタイムカード の2点
※ 領収書発行後に訓練経費の一部が還付された場合は返還金明細書が必要。
※ 代理人による場合は委任状・代理人の身元確認書類が必要
※ 訂正
表『申請に必要な書類』中、専門実践・事前の⑦・⑧の◎が抜けていました '25.03.27