前回、具体的な育児休業延長の手続方法までは書けなかったので、今回は極めて実務的な『延長の手続き』の話。
《手続きの話なら、手続きの申請をするときに読めばいいか》
と思うかもしれないが、この延長の申告書の内容は、前回紹介した延長の要件や添付書類ともリンクしているので、できればあらかじめ読んでおいてもらった方がいい。
育児休業給付金延長の提出書類は次の通り(他に添付書類も必要)。
① 育児休業給付金・出生後休業支援給付金支給申請書
② 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
の2つだ。
①の『支給申請書』の方は普通の育児休業給付金の申請の際にも使うもので、これについては会社やそこの顧問社労士がやってくれると思うので省略する。
もう1つの②の『認定申告書』。これは必ず本人が記載して、原則事業主を経由して提出することになっている。
『延長事由認定申告書』と添付書類
必要な添付書類もこの『延長事由認定申告書』の内容と関係してくるので、今回はこの申告書の記載に沿って説明する。
1 育児休業の対象となる子について、右の①②を記載してください。
ここは、『①子の氏名』と『②子の生年月日』をそのまま書く。
2 今回、延長を申請する期間について、右のア・イのうち、該当するものを選択してください。
ア 1歳(注)~1歳6か月の期間
イ 1歳6か月~2歳の期間
ここは、どちらかに○をつけるだけだが、『パパママ育休プラス』で1才以降も育児休業が続いた方の場合も『ア』になる。
3 保育所の利用(入所)申込みについて、以下①~⑧について選択又は記載してください。
① 保育所等における保育の利用を希望し、市区町村に利用(入所)申込みをしましたか。
ア はい
イ いいえ
ここで『イ いいえ』でも延長が認められるのは、前回『₂₂₅.育児休業(給付金受給)期間の延長』で説明した『子が病気や障害で特別な配慮を要する』ことを理由に市区町村から受付けを拒まれたときに限られる。
その場合は『イ いいえ』に○をつけたうえで一番下の(理由欄)に申込みできなかった理由を書き、障害者手帳・医師の診断書等を添付書類として付ける。その場合はこれで終了。
それ以外は『ア はい』になるはずだ。
② 利用(入所)申込みをした日
これもそのまま書けばいいが、これに伴って、利用申し込みを行ったときの『利用申込書』の写しは添付書類として必須なので、申込む前にコピーを取って保管しておくのがいい。受付印等は不要だ。
なぜ申込日が問われるかというと、育児休業給付金の延長の要件の1つに『子の1才到達日(誕生日の前日)までに保育所等の利用の申込みを行った』ことがあるので、その確認のためだ。
③ 利用(入所)開始希望日
これも保育所に申込みしたときの申込書のコピーを見てそのまま書けばいい。
これも延長の要件とリンクしていて、『開始予定日』が子の1才の誕生日の翌日以後であれば認められない。
ただしこれも『その市区町村で子の1才の誕生月の募集がなく、入所の申込みが受付けられ』なかった場合は例外として認められる可能性があるので、その場合は(理由欄)に理由を記載の上、以下の添付書類をつける必要がある。
○ 1才2ヶ月到達日までを入所希望日とした入所申込書の写し(②と同じ)
○ 募集がなかったことが分かる市区町村のリーフレット等の写し
○ 市区町村が発行した選考結果が分かる書類(入所保留通知書等)の写し
(これは⑤の通知書と同じ)↗
④ 利用(入所)申込みに当たり、入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしていませんか。
ア していない
イ している
ここだけ否定疑問文になっているところに厚労省の苦心の跡が見られるが、回答が『 アしていない イ している 』になっているのは極めて良心的だ。これが『はい・いいえ』なら、思わず『いいえ』と答えてしまいそうだ。
ここは『 ア していない』の場合しか、延長の対象にならない。
⑤ 利用(入所)保留の有効期限
この⑤に伴って、必ず『入所保留通知書』や『入所不承諾通知書』等、市区町村からの保育所等の利用ができない旨の通知書を添付書類として付けなければならない。
その『保留通知書』等に記載の『有効期限』を書けばいい。
ただし『通知書』の発行日が、子の生後10ヶ月(4月入所の申込み場合は9ヶ月)到達日以前(たとえば8月10日生まれなら6月9日以前)のものしかなく、保留中に新たな通知書が発行されない場合は、子の1才の誕生日が『保留』の有効期限内にあることが、延長の要件になる。
⑥ 利用(入所)内定を辞退したことがありますか。
ア 辞退したことはない
イ 辞退したことがある
まず、これは現状育児休業をしているその子についての質問なので、その兄や姉などその他の子についての内定辞退の過去はあっても関係ない。
現在育児休業をしている当該子について内定を『 イ 辞退したことがある 』場合は、原則延長の対象外になる。
これは、雇用保険の『業務取扱要領』にも
当該子について、これまでにやむを得ない理由がなく保育所等の内定を辞退していないこと
が要件として掲げられている。
ただし、内定後の住所変更など『内定した保育所等に子を入所させることが困難な事情の変更が生じた場合』は、『やむを得ない理由』として例外的に延長が認められることはある。
その場合は『イ』に○をつけたうえで、(理由欄)に
○ 変更前の住所
○ 変更前後の勤務場所
○ 事情変更の生じた日付
○ 具体的な理由
を記載する必要がある。
⑦ 利用(入所)申込みをした保育所等の中で、自宅から最も近隣の施設名と通所時間(片道)
施設名
通所方法
通所時間(片道)
これもそのまま書けばよい。『通所時間』が30分未満なら、次の⑧は記入不要。
⑧ 通所時間(片道)が30分以上の場合、その理由を次から選択してください。
ア 申し込んだ保育所等が本人又は配偶者の通勤の途中で利用できる場所にあるため
イ 自宅から30分未満で通える保育所等が存在しないため
ウ 自宅から30分未満で通える保育所等では職場復帰後の勤務時間・勤務日に対応できないため
エ 子に特別な配慮が必要であり、自宅から30分未満で通える保育所等では対応できないため
オ その他
⑦で『30分以上』の場合は、⑧のいずれかに○をつける。『 オ その他 』で
○ 兄弟が在籍する保育所等の利用を希望する
○ 30分未満の保育所がすべて3年以内に虐待等で自治体から指導を受けていた
場合も延長の理由として認められるので、それらの場合は(理由欄)に記載する。
あとは、署名して会社に提出する。