毎年1回、7月10日までに提出する『算定基礎届』で4月~6月支給の報酬を申告し、これによってその年9月分から翌年8月分までの『標準報酬』が決まり、それによって、それによって社会保険料が決まるのが原則だが、前回述べた以外にも例外がある。
報酬になる場合とならない場合がある
・ 年4回以上と定められていれば『報酬』
賞与は賞与で給与とは違い、1000円未満を切捨てた額を『標準賞与額』として賞与支払届で届け出ることになっている。
ただし賞与の支給が、給与規定・賃金協約等の諸規定によって年間を通じて4回以上支給されることが客観的に定められているときは、当該賞与は報酬に該当し、
7月1日前の1年間に受けた賞与の額を12で除して得た額
を、報酬月額に加えなければならない。
・ その年だけ『たまたま』年4回の場合は『賞与』
ただしこれは前年7月から当年6月までの間に賞与の支給が4回以上なら必ず『給与』として、年間賞与額の12分の1を報酬に加算しなければならないことを意味するものではない。
たとえばいつもはお盆と年末・年度末に年3回賞与を支給している会社が、思いのほか業績が良かったことからその年だけ特別に、決算月に『決算手当』を支給したというのもよくある話だ。
これはたまたまその年だけ年4回になったものなので、賞与の支給が年4回と客観的に定められたものではない。したがって報酬に算入する必要はなく、それぞれの賞与支給の都度『賞与支払届』を提出するいつも通りの対応で問題ない。
各月支給の『燃料手当』は標準報酬に算入
・ 年一括なら賞与
燃料手当・暖房手当・寒冷地手当…等々名称は色々あり昔は『石炭手当』とも言ったが、北海道などの寒冷地においては冬場を乗り切るために特別な費用が掛かる。この費用を賄うため民間企業でも事業所によって以前から支給されてきたのがこれらの手当だ。
10月から11月くらいに1冬分を一括で支給する所が多く、その場合は賞与として社会保険料の対象となる。もちろんこの手当を加えて賞与が年4回以上のときは前項による。
・ 月々支給なら、報酬月額に加算
ただし、暖房が必要な期間(10月~4月くらい)のうち5ヶ月間位毎月支給する会社もある。また、定額『○万○千円』でなく、『灯油月○リットル分』と決め、時々の実勢価格をもとに『時価』で月々支払うところもあるようだ。
いずれにしてもこれらの場合は、年間の『燃料手当』(等)を12で割った金額を、報酬月額に加算しなければならない。
たとえば11月から3月まで5ヶ月にわたって1万5000円ずつ支給する場合なら、
1万5000円/月 × 5ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 6250円/月
を、普通に計算した報酬月額に加えることになる。
・ 冷房手当は?
冷房手当というのは筆者は聞いたことがないが、『命に関わる暑さ』が続く昨今の状況を見ると、そういう手当も十分考えられるし、筆者が知らないだけでもうどこかで登場しているのかもしれない。
こうした場合も上の『燃料手当』と同様に考えればいいだろう。
休業手当が支払われた場合
休業手当は賃金(₁₁₃.賃金に入るもの・入らないもの)なので、当然定時決定の際の報酬に含まれる。従って、支給された休業手当は算定基礎届に記入する『報酬』に含まれ、休業手当が支払われた日数は『報酬支払基礎日数』に含まれる…はずだ。
一時帰休による休業手当は細かい規定あり
しかし、必ずそうとは限らない。
日本年金機構『算定基礎届の作成例』によると、一時帰休に伴う休業手当が含まれている場合は、7月1日時点における状況で扱いが異なる。
・ 7月1日に一時帰休が解消していない ➡ 原則通り
7月1日時点で一時帰休が解消していない場合は原則通り、休業手当を含めた4~6月に支給された報酬額・報酬支払基礎日数で、報酬月額を算定する。
・ 7月1日に一時帰休が解消している ➡ 休業手当を含まない月
7月1日時点で一時帰休が解消している場合は、休業手当が支給された月を含まない月のみで報酬月額を算定し、そうした月がない場合は従前の標準報酬とする。
ここで、20日〆・翌5日支給の会社で、3月1日から4月30日まで2ヶ月間一時帰休が実施されていた場合を考える。たとえば、
支給月 報酬支払の基礎となった日 休業手当を含む報酬
4月(3月分) 2月21日~3月20日 22万円
5月(4月分) 3月21日~4月20日 18万円
6月(5月分) 4月21日~5月20日 26万円
7月(6月分) 5月21日~6月20日 30万円
という場合、まず、7月1日には一時帰休は解消しているので、休業手当を含まない月で算定することになる。
次に、定時決定に関わる4~6月に支給された報酬はすべて休業手当を含んでいるので、算定に使える月はない。この場合は結局、従前の標準報酬が踏襲(とうしゅう)されることになる。
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