2025年分から所得税の基準が改正され、普通の給与所得者の控除額が増えた。
この恩恵が個人に還元されたのは2025年分の年末調整からなので、通常の給与については2026年1月支給分から、控除される所得税が減額されることになる。
具体的には、2025年までは8万8000円以上の給与で所得税が課されていたものが、2026年は10万5000円以上の給与の場合になる。
ザックリ、月10万円程度であれば所得税の心配はないわけだ。
基礎控除は10万円引上げ
『生計費非課税の原則』(人間生きていくために最低限必要なものには税金をかけないという原則)から『基礎控除』というものが認められているが、この『基礎控除』をほぼ全員について10万円引上げた。
『ほぼ』というのは合計所得2350万円以下の方に限るからだが、所得2000万円以上を見ても2024年度で1.4%程度なので、2350万円超となると、人数的には無視してもいいだろう。
なお、基礎控除の引上げについては、細かくいうと合計所得金額によって次のように細分化されていて、たとえば所得132万円以内なら47万円の引上げになる。
ただ、132万円~655万円の方の10万円を超える引上げ分は2026年1年間で終わる一時のアメ玉みたいなものだ。誤解のもとにならないように一応ここに記しておく。
なお、こうしたアメ玉を含む10万円超の引上げ分は、月ごとの源泉所得税には影響を及ぼしていないようだ。
ということは、月々取られ過ぎの分は2025年同様年末調整で還元されることになるので、何らかの事情で年末調整のない方は、ソンしないように、これから数年間は確定申告を怠らないようにした方がいいだろう。
・ 2025年から基礎控除はこうなった
合計所得 2024年 2025・2026年 2027年以降
~132万円 48万円 95万円 95万円
132万円超 ~ 336万円 48万円 88万円 58万円
336万円超 ~ 489万円 48万円 68万円 58万円
489万円超 ~ 655万円 48万円 63万円 58万円
655万円超 ~ 2350万円 48万円 58万円 58万円
2350万円超 ~ 2400万円 48万円 48万円 48万円
2400万円超 ~ 2450万円 32万円 32万円 32万円
2450万円超 ~ 2500万円 16万円 16万円 16万円
2500万円超 ~ 0円 0円 0円
結局、最終的には所得132万円以下の方で47万円、132万円超2350万円以下の方で10万円の引上げになる。
給与所得控除も10万円底上げ
サラリーマンにとってはこっちの方が馴染みが深いだろう。
話の順番から言っても『給与所得控除』は給与が入ってきた入り口でまず控除してくれるイメージだ。
この給与所得控除にも引上げがあった。
といってもこっちの方は、給与収入が162万5000円以下の方について10万円アップして65万円にするのが最高で、ここ以降190万円までの方について少しずつ控除額が上がるだけ。
190万円以上の方には恩恵はない。引上げというよりはどちらかというとチョコッと『底上げ』といった方がイメージに近い。
・ 給与所得控除額
給与所得控除額
給与収入(A) 2024年まで 2025年から
~ 162.5万円 55万円 65万円
162.5万円 ~ 180万円 A × 40% ー 10万円 65万円
180万円 ~ 190万円 A × 30% + 8万円 65万円
190万円 ~ 360万円 A × 30% + 8万円 変わらず
360万円 ~ 660万円 A × 20% + 44万円 ‘’
660万円 ~ 850万円 A × 10% + 110万円 ‘’
850万円 ~ 195万円 ‘’
ちなみに『A』の入ったところを計算すると、2024年までで170万円なら58万円・180万円なら62万円の控除額になる。これが2026年以降は65万円に少し底上げされる。
扶養控除等申告書を提出した人だけ
分かりやすいように冒頭で『給与の所得税は10万5000円からに』と書いた。つまりこれ未満の方は月々の所得税は一切かからないということだ。これはウソではないが条件がある。
その勤め先に『扶養控除等(異動)申告書』を提出しているということだ。
ここで都合よく誤解する方がいるが、これに関しては配偶者や扶養親族があろうがなかろうが必ず提出していなければならない。
扶養控除等(異動)申告書未提出の場合は原則、税額表『乙欄』適用ということになる。
この『乙欄』というのは知る人ぞ知る欄で税率がバカ高い。最低でも3.063%。月収20万円で10%・40万円で20%を超す、天井知らずのインフレルールなのだ。
それなら誰でも『扶養控除等(異動)申告書』くらい出すだろうと思いきや、これを出すにも条件がある。といっても大した条件ではない。
『扶養控除等(異動)申告書』の提出は1人1社に限られる。ダブルワーク・トリプルワークでも、提出は1社ということだ。
要は、あちこちで少しずつ給与を得て所得税を免れようとしても、ダメだよということ。
社会保険料を引いた後が10万5000円から
さらに表題の〝給与の所得税は10万5000円からに〟の『10万5000円』自体も、社会保険料を引いた後の金額だ。
最近は社会保険の適用拡大で、月収8万8000円以上なら社会保険加入となる場合も多いので、10万5000円なら余裕で社会保険加入者が多いだろう。
また、ここでいう『社会保険料』は広義のもので雇用保険料も入る。
具体的には、たとえば2025年度北海道の場合、40~64才・建設または農漁業なら単身でも12万4836円までは(社会保険料控除後の金額が10万5000円未満になるので)所得税がかからない計算だ。
扶養親族等の数によっては…
ここまでの話はその方の『扶養親族等の数』がゼロの場合、たとえば単身で、学生でなく、障害がない場合等だ。
『扶養親族等の数』が増えるにしたがって所得税がかからない範囲も広がる。
ここで月々の所得税がかからない給与収入を計算してみたのが以下の表だ。なおここで『社保あり』は、2025年度協会けんぽ北海道の場合だ。
・ 所得税がかからない最大収入
扶養親族等の数 社保なし 社保あり
0人 10万4999円 12万4836円
1人 13万6999円 16万2213円
2人 17万0999円 20万2515円
3人 21万6999円 25万7936円
4人 26万2999円 31万3356円
5人 30万7999円 36万4730円
6人 34万6999円 41万1584円
扶養親族等の数『6人』というのはちょっと珍しいんじゃないの?と思うかもしれないが、扶養する同居家族に特別障害者が2人いれば扶養親族等の数『6人』となるので、常識をはずれて大きい数とはいえないだろう。
ただ逆に中学生以下のお子さんが6人いても共働きなら扶養親族等の数は『0人』という場合もあるので、前にも書いたが『扶養親族等の数』は『扶養親族の数』とはあまり関係がない。
いずれにしても、今回所得税の控除額が引上げ・底上げされた影響もあり、『扶養親族等の数』が大きければ月収が40万円を超えても『源泉所得税0円!』ということも起こり得る。