₁₃₄.日額固定と『日割』合わせ技の欠勤控除



ハイブリッド型①  日額固定 ➡ 日割

 
 ここまで見たように、欠勤控除方法として日額固定型と完全日割型では、それぞれメリット・デメリットがある。これを組み合わせて弱点を補おうというのがここでいう『ハイブリッド型』だ。

 組み合わせの数からいえば様々なパターンが考えられるが、多いのは、控除日数が少ないときは日額固定型・多くなったときは月内日割計算型というものだ。実際にこの方法をとっている会社も結構ある。

 大体、控除日数が3日から6日くらいまで『日額固定型』を使うものが多い。両者のいいとこどりということで、合理性はあると思う。

 それぞれの方法による控除額を比較してみる。皆勤手当なし月給30万円のみの姫川さんの場合で、土日祝休み(1日8時間・年1960時間)とした。基礎賃金は1,837円なので、日額は14,696円になる。
 

・ どこから日割にする?

 
 以下、欠勤日数別の日額固定型(左から2列目)と日割計算(右6列)の結果を示す。

 

      日額固定       月内日割計算(所定労働日数)
欠勤日数         18日   19日   20日   21日   22日  23日
 1日   14,696    16,666  15,789   15,000   14,285   13,636  13,043
 2日   29,392    33,332  31,578   30,000   28,570   27,272  26,086
 3日   44,088    49,998  47,367   45,000   42,855   40,908  39,129
 4日   58,784    66,664  63,456   60,000   57,140   54,544  52,172
 5日   73,480    83,330  78,945   75,000   71,425   68,180  65,215
 6日   88,176    99,996  94,734   90,000   85,714   81,816  78,258
 7日   102,872  116,662 110,523 105,000   99,995   95,452  91,301
 8日   117,568  133,328 126,312 120,000 114,280 109,088 104,344
 9日   132,264  149,994 142,101 135,000 128,565 122,724 117,387
 10日  146,960  166,660 157,890 150,000 142,850 136,360 130,430
 11日  161,656  183,326 173,679 165,000 157,135 149,996 143,473
 12日  176,352  199,992 189,468 180,000 171,420 163,632 156,516
 13日  191,048  216,658 205,257 195,000 185,705 177,268 169,559
 14日  205,744  233,324 221,046 210,000 199,990 190,904 182,602
 15日  220,440  249,990 236,835 225,000 214,275 204,540 195,645
 16日  235,136  266,656 252,624 240,000 228,560 218,176 208,688
 17日  249,832  283,322 268,413 255,000 242,845 231,812 221,731
 18日  264,528  299,988 284,202 270,000 257,130 245,448 234,774
 19日  279,224    ー  299,991 285,000 271,415 259,084 247,817
 20日  293,920    ー    ー   300,000 285,700 272,720 260,860
 21日  300,000    ー    ー    ー   299,985 286,356 273,903
 22日  300,000    ー    ー    ー    ー   299,992 286,946
 23日  300,000    ー    ー    ー    ー    ー   299,989

 

 欠勤が少ないところは1日(14,696円)・2日(29,392円)…と基礎賃金から算出した『日額固定』の金額を使い、あらかじめ定めたどこかの日数を超えたら『日割計算』に移すことになる。

 どの日数で『日割』に移るかだが、もし『欠勤8日を超えたら日割計算』とすれば、所定労働日数23日の月なら控除額が欠勤8日で117,568円、9日で117,387円と逆転現象が起こってしまう。

 したがって『日額固定』は最大欠勤7日まで。ある程度の滑らかさを考えればせいぜい欠勤6日くらいまでとするのがいいようだ。
 

ハイブリッド型②  日額固定 ➡ 日割 ➡ 日額固定

 
 さらに手が込んでいて、欠勤・出勤のいずれかが少ないときは日額固定(基礎賃金により控除額・定額支給額を決定)とし、両者が拮抗する場合のみ日割計算型というものもある。対称性を重視するとそういうことになるのかもしれない。

 ここでは、上の表のように日額固定型と日割計算型を併記するのではなく、出勤・欠勤が5日以内のときだけ日額固定としたときの、所定労働日数別の控除額を表した。
 

              月内所定労働日数
欠勤日数   18日   19日     20日    21日    22日   23日
 1日   14,696    14,696    14,696    14,696    14,696  14,696
 2日   29,392    29,392    29,392    29,392    29,392  29,392
 3日   44,088    44,088    44,088    44,088    44,088  44,088
 4日   58,784    58,784    58,784    58,784    58,784  58,784
 5日   73,480    73,480    73,480    73,480    73,480  73,480
 6日   99,996    94,734    90,000    85,710    81,816  78,258
 7日   116,662  110,523  105,000    99,995    95,452   91,301
 8日   133,328  126,312  120,000  114,280  109,088  104,344
 9日   149,994  142,101  135,000  128,565  122,724  117,387
 10日  166,660  157,890  150,000  142,850  136,360  130,430
 11日  183,326  173,679  165,000  157,135  149,996  143,473
 12日  199,992  189,468  180,000  171,420  163,632  156,516
 13日  226,520⑤ 205,257  195,000  185,705  177,268  169,559
 14日  241,216④ 226,520⑤ 210,000  199,990  190,904  182,602
 15日  255,912③ 241,216④ 226,520⑤ 214,275  204,540  195,645
 16日  270,608② 255,912③ 241,216④ 226,520⑤ 218,176  208,688
 17日  285,304① 270,608② 255,912③ 241,216④ 226,520⑤ 221,731
 18日  300,000⓪ 285,304① 270,608② 255,912③ 241,216④ 226,520⑤
 19日    ー   300,000⓪ 285,304① 270,608② 255,912③ 241,216④
 20日    ー     ー   300,000⓪ 285,304① 270,608② 255,912③
 21日    ー     ー     ー   300,000⓪ 285,304①  270,608②
 22日    ー     ー     ー     ー   300,000⓪  285,304①
 23日    ー     ー     ー     ー     ー    300,000⓪

 

 ここで、青数字は日額固定の欠勤控除・緑数字は日額固定の支給額・赤数字は日割で、それぞれ求めた控除額だ。
 月内所定労働日数に関わらず、かなり滑らかにはなってきた。そのためにやっているのだから当然だ。

 ハイブリッド型を極めれば極めるほど控除額の変動は滑らかになり、納得しやすいカーブにもなっていくが、そうするほど計算式は増えていくので、日頃の給与計算は結構大変になり、間違いのリスクも増大する。

 これ以外にも色々バリエーションは考えられるが、その辺の兼ね合いが大事なところで、なるべく多くの方に意見を求め、担当者の自己満足にならないよう留意したいところだ。

 

次 ー ₁₃₅.時間・分単位の欠勤控除 ー

 

2024年04月09日