さて、ここでは、レギュラーの月影さんに登場してもらい、振替休日・代休等の場合、給与はどうなるのか計算してみる。
月影さんの会社の〆日は末日・休日は土日・法定休日及び週の初日は日曜日・月~金9:00~18:00勤務(休憩1時間)・普通の週1休(法定休日)の会社である。
関係する賃金単価は次の通り。
・基礎賃金 1,423円/h
・時間外労働単価 1,779円/h
・時間外労働単価(月60h超)2,135円/h
・休日労働単価 1,921円/h
ここでは、法定休日は〝㊐〟等、それ以外の所定休日は〝(土)〟等とする。
① 法定休日の日曜を、その週の金曜と振替えた場合
勤務時間は、
日 月 火 水 木 ㊎ (土)
8h 8h 8h 8h 8h 0h 0h
となる。この場合は、単純に月曜と金曜が入れ替わったと考えるので、休日労働も時間外労働もなく、月給の月影さんの給与に増減はない。
つまり、 ±0円
② 法定休日の日曜に勤務させ、その代休をその週の金曜とした場合
㊐ 月 火 水 木 金 (土)
8h 8h 8h 8h 8h 0h 0h
・ 日曜については法定休日割増が発生するので、増額分は
1,921円/h × 8h = 15,368円
・ 金曜については、一般的には基礎賃金分が控除されるので減額分が
1,423円/h × 8h = 11,384円
で、差引
15,368円 ー 11,384円 = 3,984円
この分、給与が増額になる。
ここで、金曜の控除分について『一般的には』としたのは、控除分の計算方法については、ある程度会社のルールに任されているので、必ずこうなるというものではないからだ。
ただ、ここでは不就労時の賃金控除(1時間分)を、基礎賃金分として考える。
③ 事前に法定休日を土曜に移動し、日曜に勤務させた場合
(日) 月 火 水 木 金 ㊏
8h 8h 8h 8h 8h 8h 0h
・ 木曜までで、週の法定労働時間40時間に達するので、金曜は法定時間外となる。時間外割増賃金は、
1,779円/h × 8h = 14,232円
となるが、このうち月60時間を超える部分がある場合には、1時間につき356円(2,135円ー1,779円)ずつ増加することになるので、最大
2,135円/h × 8h = 17,080円
になる。
④ ③で法定休日を移動しなかった場合
㊐ 月 火 水 木 金 (土)
8h 8h 8h 8h 8h 8h 0h
この場合は、日曜が法定休日労働となるため、日曜の休日割増賃金は
1,921円/h × 8h = 15,368円
となる。③と比べると微妙なところだ。
割増率の基準は、時間外25%(月60h超は50%)・法定休日35%なので、
対象となる『週の法定時間外』のうち、月60時間超の部分が4割を超えると、休日労働の割増賃金額を超える
ことになる。これは、次の4週4休の場合も同じだ。
4週4休の場合
以下、法定休日が4週4休で、他の条件は月影さんとまったく同じ場合を考える。
⑤ 日曜の法定休日を、翌週月曜と振替えた場合
日 月 火 水 木 金 (土) ㊐ ㊊ 火 水 木 金 (土)
8h 8h 8h 8h 8h 8h 0h 0h 0h 8h 8h 8h 8h 0h
この場合、休日割増は発生しないが、
・1週目については金曜の分が週の時間外労働となり、
1,779円/h × 8h = 14,232円
となるが、月60h超部分があると、③同様1時間につき356円増額になるので、最大
2,135円/h × 8h = 17,080円
・2週目月曜は基礎賃金分(11,384円)が控除され、差引
(14,232円~17,080円)ー 11,384円 = 2,848円~5,696円 増額
となる。
⑥ ⑤で、振替えなかった場合
振替えずに同様の労働状況だった場合は、1週目日曜は法定休日となるので、
1,921円/h × 8h = 15,368円
となり、1週目金曜は通常の労働となる。
2週目月曜は同様に基礎賃金分(11,384円)が控除され、差引
15,368円 ー 11,384円 = 3,984円 増額
となる。
⑦ 1週目日曜の法定休日を翌週月曜と振替え、
土曜の所定休日も翌週火曜と振替えた場合
日 月 火 水 木 金 土 ㊐ ㊊ 火 水 木 金 (土)
8h 8h 8h 8h 8h 8h 8h 0h 0h 0h 8h 8h 8h 0h
この場合も、休日割増は発生しない。
・1週目については、金曜・土曜分が週の法定時間外となり、
(1,779円/h~2,135円/h)× 16h = 28,464円~34,160円
・2週目の月・火については、基礎賃金分
1,423円/h × 16h = 22,768円
が控除されるので、差引
(28,464円~34,160円)ー 22,768円 = 5,694円~11,392円 増額
になる。
⑧ ⑦で、法定休日分を振替えなかった場合
1週目日曜の法定休日を振替えなかった場合は、1週目日曜の法定休日分は
1,924円 × 8h = 15,368円
となる。1週目金曜は通常の労働だが、土曜は週の時間外となるので、
(1,779円/h~2,135円/h)× 8h = 14,232円~17,080円
1週目日曜と土曜の分を合わせると、休日・時間外割増の合計は、
29,600円~32,448円
となる。また、2週目月・火は⑦と同様に22,768円控除されるので、差引
(29,600円~32,448円)ー 22,768円 = 6,832円~9,680円 増額
ということになる。
月(賃金計算期間)をまたいだ振替え
4週4休の場合の振替は、月(賃金計算期間)をまたいだ場合が問題となる。
上の『⑤日曜の法定休日を翌週月曜と振替えた場合』で、2週目日曜が翌月になる場合、『休日の振替』自体はもちろん有効で、『休日割増』も発生しないが、給与は月ごとに清算しなければならないので、60h超の時間数によるが、
・1週目金曜分は、当月分給与を 14,232円~17,080円 増額)し、
・2週目月曜分は、翌月分給与を 11,384円 減額
することになる。
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