(私自身は正気に戻れたのだが、12月1日、HP制作中のpcがクラッシュしてしまった。全くもって申し訳ない。詳細はいずれ報告させていただく。)
夕方から夜間専門の飲食店などで、所定労働時間が深夜0時を過ぎる場合がある。こういった場合の深夜割増賃金を考えてみる。
始業20時・終業午前2時・6時間勤務で日給8,400円・他に手当はなしとする。こういう定め方自体は認められている。
実はこれは時給1,200円で、22時から終業の2時までの4時間に『深夜割増』25%がついている状態 ↓
( 1,200円/h × 6h + 1,200円/h × 25% × 4h = 8,400円 )
である。手当が特にないので、基礎賃金は時給と同じ1,200円でよい。深夜割増の単価は300円/hとなる。
めったに残業がない事業所だと、この肝心のところを忘れてしまい、従業員が1時間残業したら、8,400円÷6で1,400円を時給(この場合は基礎賃金)と考え残業代を計算する誤りがたまに見られる。 ↓
( 1,400円/h × 1h = 1,400円 )
初歩的なミスだが、この場合は、本来の基礎賃金(1,200円/h)に、深夜割増単価(300円/h)をプラスしなければならないので、正しい計算は次のようになる。↓
1,200円/h × 1h + 300円/h × 1h = 1,500円
この場合は、残業とはいっても法定労働時間1日8時間以内に収まっているので、残業それ自体に対する割増は必要ない。
実は、ここでもう1つ問題があるのだが、それについては次回で。
午前0時超え週6日で法定休日労働に
深夜0時を挟む労働時間の場合、もう1つ注意すべきは法定休日の扱いである。上記20時~2時の所定労働時間の方が、週6日勤務(週36時間)すると、法定休日労働が発生する。
まず、原則として、勤務時間の途中で深夜0時をまたぐ場合は、終業まで前日の労働とみなすことになっている。
また、法定休日は毎週1回、暦日で与えなければならない。例外は昼夜3交代制の業務・旅館やホテルでの一定の業務・自動車運転業で、それぞれ所定の要件をクリアするものだけだ。
飲食店等は対象でないので、週1回、暦日すなわち深夜0時から24時までの休日を毎週取らせなければならない。これは、前述の原則に優先する。法定休日にまたがる勤務は、前日の労働の延長とは認められないのだ。
だから、日曜日が法定休日とすると、この日曜日の深夜0時から2時までの労働は、前日土曜の20時~24時までの労働の延長とはみなされない。日曜日は午前0時から2時まで労働したということになる。
この日は午前2時で終業。一般常識的に言うとこの日曜日は『休み』だ。
次の労働は月曜日の20時からということになるが、この場合、インターバルは42時間取れているにもかかわらず、1日も暦日の休日を与えていないことになる。つまり、毎週必ず法定休日労働が発生する。
法定休日の場合、深夜0時~2時の2時間は、法定休日労働として、基礎賃金(この場合は時給と同じ)の1.35倍・深夜割増として0.25倍、合計1.6倍の割増賃金を支払う必要がある。
基礎賃金をもとにして、この時間の賃金を計算すると、このようになる。
※ 日曜午前0~2時の賃金
( 1,200円/h × 1.35 + 1,200円/h × 0.25 )× 2h = 3,840円
そもそも、法定休日労働や法定時間外労働を前提とした『所定労働時間』は認められないので、土曜日の所定労働時間は20時~24時とし、後の2時間は残業として扱うしかない。この方の1週間の労働をまとめると、次のようになる。
0:00 ~ 2:00 20:00 ~ 22:00 ~ 0:00 ~ 2:00
(24:00) (26:00)
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
月~金 通常の労働 深夜労働 深夜労働
土曜日 通常の労働 深夜労働 ×
日曜日 休日深夜労働
この表を月曜始まりにしたのは、土日のつながりを分かりやすくしただけで、この場合は、週の初日が何曜日であっても同じことになる。
1日の所定時間を変えずに法定休日をとるには、週休2日にしなければならない。その場合も、『日月』等、2日連続の『休み』にしないと同じ問題が生ずる。
次 ― 15. 6時間労働を超したら休憩 ―
※ 数字等を訂正しました。
9行目 1,140円 × 25% × 4h ⇒ 1,140円/h × 25% × 4h
15行目 1,300円/h × 1h ⇒ 1,330円/h × 1h ('22.12.21)
※ 2つ目のタイトル変更します。
深夜業は法定休日にも注意 ⇒ 午前0時超え週6日で法定休日労働に
※ 最低賃金改定により、設定金額変更 '24.09.17