14.深夜労働の割増と法定休日

(私自身は正気に戻れたのだが、12月1日、HP制作中のpcがクラッシュしてしまった。全くもって申し訳ない。詳細はいずれ報告させていただく。)

 夕方から夜間専門の飲食店などで、所定労働時間が深夜0時を過ぎる場合がある。こういった場合の深夜割増賃金を考えてみる。

 始業20時・終業午前2時・6時間勤務で日給8,400円・他に手当はなしとする。こういう定め方自体は認められている。

 実はこれは時給1,200円で、22時から終業の2時までの4時間に『深夜割増』25%がついている状態   ↓

( 1,200円/h × 6h + 1,200円/h × 25% × 4h = 8,400円 )

である。手当が特にないので、基礎賃金は時給と同じ1,200円でよい。深夜割増の単価は300円/hとなる。

 めったに残業がない事業所だと、この肝心のところを忘れてしまい、従業員が1時間残業したら、8,400円÷6で1,400円を時給(この場合は基礎賃金)と考え残業代を計算する誤りがたまに見られる。  ↓

 ( 1,400円/h × 1h = 1,400円 

 初歩的なミスだが、この場合は、本来の基礎賃金(1,200円/h)に、深夜割増単価(300円/h)をプラスしなければならないので、正しい計算は次のようになる。↓

1,200円/h × 1h + 300円/h × 1h = 1,500円

 この場合は、残業とはいっても法定労働時間1日8時間以内に収まっているので、残業それ自体に対する割増は必要ない。
 実は、ここでもう1つ問題があるのだが、それについては次回で。
 

午前0時超え週6日で法定休日労働に

 深夜0時を挟む労働時間の場合、もう1つ注意すべきは法定休日の扱いである。上記20時~2時の所定労働時間の方が、週6日勤務(週36時間)すると、法定休日労働が発生する。

 まず、原則として、勤務時間の途中で深夜0時をまたぐ場合は、終業まで前日の労働とみなすことになっている。

 また、法定休日は毎週1回、暦日で与えなければならない。例外は昼夜3交代制の業務・旅館やホテルでの一定の業務・自動車運転業で、それぞれ所定の要件をクリアするものだけだ。

 飲食店等は対象でないので、週1回、暦日すなわち深夜0時から24時までの休日を毎週取らせなければならない。これは、前述の原則に優先する。法定休日にまたがる勤務は、前日の労働の延長とは認められないのだ。

 だから、日曜日が法定休日とすると、この日曜日の深夜0時から2時までの労働は、前日土曜の20時~24時までの労働の延長とはみなされない。日曜日は午前0時から2時まで労働したということになる。

 この日は午前2時で終業。一般常識的に言うとこの日曜日は『休み』だ。
 次の労働は月曜日の20時からということになるが、この場合、インターバルは42時間取れているにもかかわらず、1日も暦日の休日を与えていないことになる。つまり、毎週必ず法定休日労働が発生する。

 法定休日の場合、深夜0時~2時の2時間は、法定休日労働として、基礎賃金(この場合は時給と同じ)の1.35倍・深夜割増として0.25倍、合計1.6倍の割増賃金を支払う必要がある。

 基礎賃金をもとにして、この時間の賃金を計算すると、このようになる。

※ 日曜午前0~2時の賃金

( 1,200円/h × 1.35 + 1,200円/h × 0.25 )× 2h = 3,840円

 そもそも、法定休日労働や法定時間外労働を前提とした『所定労働時間』は認められないので、土曜日の所定労働時間は20時~24時とし、後の2時間は残業として扱うしかない。この方の1週間の労働をまとめると、次のようになる。

     0:00 ~  2:00   20:00 ~ 22:00  ~  0:00 ~  2:00
                             (24:00)  (26:00)
      ▼     ▼     ▼     ▼     ▼     ▼
月~金                通常の労働  深夜労働 深夜労働
土曜日                通常の労働  深夜労働   ×
日曜日    休日深夜労働

 この表を月曜始まりにしたのは、土日のつながりを分かりやすくしただけで、この場合は、週の初日が何曜日であっても同じことになる。

 1日の所定時間を変えずに法定休日をとるには、週休2日にしなければならない。その場合も、『日月』等、2日連続の『休み』にしないと同じ問題が生ずる。

 

次 ― 15. 6時間労働を超したら休憩 ―

 

※ 数字等を訂正しました。

9行目  1,140円 × 25% × 4h ⇒ 1,140円/h × 25% × 4h
15行目  1,300円/h × 1h ⇒ 1,330円/h × 1h ('22.12.21)

※ 2つ目のタイトル変更します。

深夜業は法定休日にも注意 ⇒ 午前0時超え週6日で法定休日労働に

※ 最低賃金改定により、設定金額変更 '24.09.17

 

2022年12月20日