55.何チーム必要?24時間シフト

労働時間・休日規制の 例外 6
          暦日休日の例外


 週1休の原則についてだが、休日というのは読んで字のごとく(休みの)『日』であって、日というのは暦日(午前0時から翌日午前0時まで)である。つまり、この期間内に一切の労働がないことが休日の一般的な条件だ。
 その例外が、次の昼夜3交代制・旅館やホテル・自動車運転業の3種類ということになる。
 

・昼夜3交代制

 昼夜3交代制と言えば昔は突貫工事の代名詞のような感があったが、他にも1日24時間稼働しなければならない業務は多くある。

 そのうち、①『番方編成による交代制によることが就業規則等によって定められており、制度として運用』されていて、②『各番方の交代が規則的に定められていて、勤務割表等によってその都度設定されるものでない』場合は、継続24時間の休息をもって休日と認められる。
 なぜそうなったか。

たとえば、
1番方(早番)が、6時始業・14時終業
2番方(遅番)が、14時始業・22時終業
3番方(夜勤)が、22時始業・6時終業

となっている事業場を考える(とりあえず休憩は無視する。)。

 1番方・2番方は1回休めば普通に1暦日休んだことになるが、3番方だけはそうはいかない。他と同様1回休んでも、6時に終業した翌日の22時には次の勤務が始まるので、休『日』は無かったことになる。
 これは不合理だということで、こういう場合には、日にちをまたいでも継続24時間で休日と認めることになった。
 

  ・4チームでは足りない

 さて、休日の例外とは少し外れる部分も出てくるが、事業場全体として休みなし・24時間常時稼働とするには何チーム必要か考えてみる。これは簡単な計算で算出できる。

チーム数 ≧ 24h/日 × 7日/週 ÷ 週の所定労働時間

 普通は、週40時間が法定労働時間なので、
     24h/日 × 7日/週 ÷ 40h/週 = 4.2

 で、5チーム必要ということになる。4チームだと週160時間(40×4)しかカバーできないので、1週168時間のうち8時間分アナがあいてしまうのだ。

 これは、後で触れる『変形労働時間』を使ってもダメだ。変形労働時間制は一定期間(1週間~1年間)を平均して法定労働時間(等)に収めるものなので、どの変形を使っても4チームで週平均168時間を残業なしでカバーしようとする試みは、どう頑張っても不可能ということになる。

 一般的な『4直3交代制』と呼ばれるシフト例を示す。

 ここで、Ⓑチーム1週目水曜の夜勤終了が木曜午前6時で、次の勤務が金曜午前6時となっているのは『暦日休日の例外』として休日と認められるが、1週目はⒷチーム・2週目はⒸチームというように、毎週40時間超勤務のチームが出てきてしまう。

   日月火水木金土 日月火水木金土 日月火水木金土 日月火水木金土
早番 ⒶⒶⒶⒶⒶⒷⒷ ⒷⒷⒷⒸⒸⒸⒸ ⒹⒹⒹⒹⒹ ⒶⒶⒶⒶⒷⒷⒷ
遅番 ⒸⒸⒹⒹⒹⒹⒹ ⒶⒶⒶⒶⒶⒷⒷ ⒷⒷⒷⒸⒸⒸⒸ ⒹⒹⒹⒹⒹ
夜勤 ⒷⒷⒷⒷⒸⒸⒸ ⒸⒸⒹⒹⒹⒹⒹ ⒶⒶⒶⒶⒶⒷⒷ ⒷⒷⒷⒸⒸⒸⒸ

 さらに休憩を考慮すると、一斉休憩なら余計アナだらけになって論外なので、チーム内で休憩をずらすことを考える(業種により労使協定が必要)。その場合1勤務7時間15分も可能だが、そうやっても週6勤務で43時間30分と40時間を超える
 

  ・特例事業なら4チームで回せる


 前回触れた『特例事業』ならば、
    24h/日 × 7日/週 ÷ 44h/週 ≒ 3.82
と、4以下となるので、計算上は4チームで1週間168時間をカバーできる。

 前項の最後のように、休憩をずらして1勤務7時間15分に組んだとすると週6勤務のときでも43時間30分と法定の44時間に何とか収まる
 これら特例事業の業種なら、すべて労使協定なしでずらし休憩が可能だ。

 または、それぞれのシフトの終業を45分か1時間遅らせて引継ぎ時間をつくり、休憩をずらして1勤務実働8時間とし48時間の週があっても、後で述べる1ヶ月単位の変形を使えば法律のワク内には収めることが可能だ。

 ただ、その場合は上記のシフトを元にすると夜勤の後にインターバルが24時間取れないので、夜勤チームの切替日を1日ずつ早める必要がある。

 また、ここで、もしこの『4チーム』が『4人』なら(要は常時ワンオペ状態)、休憩のアナを埋めることができないので、休憩だけをカバーするよほど不自然なシフトでも組まない限りムリだろう。
 ワンオペは今のところ違法ではないが評判は悪い。様々な弊害も指摘されているので、避けた方が無難だ。
 

・旅館業(フロント・調理・仲番・客室係)


 例外もあるかもしれないが、普通、旅館やホテルが忙しいのは午後のチェックインから朝のチェックアウトまでの客が宿泊している間だ。この業種に関しては、正午から翌日の正午まで継続24時間を含む継続30時間(当分27時間)の休息をもって休日とする。

 例えば、夜勤明け午前10時に勤務終了の場合、翌日の午後1時からの勤務でも、その間27時間のインターバルをもって休日と認めるということだ。

 ただし、これは年間の法定休日数のうち2分の1以上暦日とするなど他にもいくつか要件がある。
 

・自動車運転者

 この業種については、原則は暦日だが、通常勤務の場合は継続32時間、隔日勤務の場合は継続44時間の休息を、休日と扱うことになっている。

 

次 ― 56.4週4休の起算日固定 ―

 

※ 文章の訂正

『特例事業なら4チームで回せる』3行目
 カバーできる計算だ ➡ カバーできる  '23.06.06

 

2023年05月30日