建設業・自動車運転業・医師の業務については、2024年3月までは猶予措置として新基準は適用せず、旧36協定の基準が使われていた。
これらの業種については2024年度以降は次のように変わった。
◎建設業
建設業については、2024年度から、
・通常の36協定の場合は、
・時間外労働『月45時間』『年間360時間』まで
・時間外+法定休日労働時間が
・単月100時間未満
・2~6ヶ月平均80時間未満
・『特別条項』付き36協定の場合、
・時間外労働について
・『月45時間超』は年間6回以内
・年間720時間以内
という、一般の事業についての基準が全面適用となった。
ただし、災害復旧・復興事業については例外として、
・時間外・休日労働の合計時間(単月100時間未満・2~6月平均80時間以内)
の規制は、適用しない。
ことになった。
◎自動車運転業
自動車運転業についても、2024年3月までは新規制は適用除外となっていたが、2024年以降は、
・通常の36協定の場合は、
・時間外労働『月45時間』『年間360時間』まで
・時間外+法定休日労働時間の規制については適用しない
・『特別条項』付き36協定の場合、
・時間外労働は年間960時間以内
・時間外・休日労働の合計時間については適用しない
・月45時間超の時間外労働の回数規定は適用しない
と変わった。これは、『自動車運転業』の特例であって、『運送業』というだけでは、特例は適用されない。
◎医師業
・通常の36協定の場合は、
・原則的に全面適用(月45時間以内・年間360時間以内)
・『特別条項』付き36協定の場合
この場合は、相当ややこしい。まず、
・月45時間超を年6回とする規定は適用しない
・休日労働を含めて2~6ヶ月平均80時間以内とする規定は適用しない。
・休日労働を含めて単月100時間未満とする規定は適用する
ことになっているが、
・追加的健康確保措置が実施される場合は例外的に100時間以上も可
・追加的健康確保措置
ここで、『追加的健康確保措置』とは、
・医師による面接指導
・勤務間インターバル等
とされる。
医師による面接指導は、以前から労働安全衛生法に規定されていて、休日労働を含めて週40時間を超える労働が月100時間を超え、疲労の蓄積が認められる場合は原則的に義務となっていた。
ここでは、(法定)時間外・休日合わせて100時間以上となる場合には面接指導が必須だ。
・勤務間インターバル等
『勤務間インターバル等』としては、
・連続勤務時間28時間以内
・『始業から24時間以内に9時間』
または『始業から46時間以内に18時間』の連続した休息時間の確保
・『代償休息』の付与
が規定されている。『代償休息』とは、休息中にやむを得ず勤務した場合に、その労働時間相当の休息時間を事後に与えるものだ。
さて、肝心の残業時間の規制についてだが、残業の必要性等で3つの水準(A~C)に分け、B・Cについては、さらに2つに分ける。
ここで、B・C水準を適用するためにはその『医療機関』が、都道府県から『特定労務管理対象機関』の指定を受ける必要があり、指定がなければすべてA水準となる。
各『水準』の、残業時間規制については次のようになっている。
・A水準
医業に従事する一般の医師
・休日労働を含め年間960時間以内
・『勤務間インターバル等』については努力義務
・B水準
・B水準
緊急医療等、特に緊急性の高い医療を提供する機関の医師
・休日労働を含めて年間1860時間以内
・『勤務間インターバル等』は義務
(以下、B・C水準において同じ)
・連携B水準
地域医療確保のために派遣され、通算で長時間労働が必要となる医師
・個々の医療機関においては、休日労働含め年間960時間以内
・C水準
・C-1水準
臨床研修医・専攻医がプログラムを選択し、基礎的技術等を習得する場合
・24時間勤務必要時の休息は、48時間以内に連続24時間以上
・C-2水準
臨床6年目以降の医師が、高度技能のため指定医療機関で診療する場合
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※ 数字の訂正です。
・勤務間インターバル等 『B水準』
2行目 1960時間 ➡ 1860時間 2023.06.20
※ 表現を24年度版に変更 '24.09.17